東方ゆる掲示板
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この話のタイトルはみんなで決める(仮)
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1:わんこそば
:
2016/09/04 (Sun) 10:56:05
host:*.spmode.ne.jp
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名前決まってないけどね。
このお話は私が考えるオリジナルでありフィクションです。
なんか変なところあったら他スレ等で突っ込んでくれると助かります。
また、ジャンルは…よくわからんですが、異世界冒険系です。
そういうの嫌いな人いたらスルーしてください。
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2:わんこそば
:
2016/09/04 (Sun) 10:57:17
host:*.spmode.ne.jp
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天京神社の建つ小六田町という町は、まさに普通の町であった。
人口は数万人。団地と集合住宅の立ち並ぶ地区と、名前くらいは聞いたことのある程度の中小企業と工場の地区。そして、畑、田んぼと小さな山の連なる山間部に分かれている。
自慢できる名物は特にない。しいて言うなら近隣では有名な麺料理屋の本店があって、町中でも数件チェーン店を出しているくらい。
さて、天京神社があるのは小六田町の山間部である。山間部といってもちらほらと建物があり、道路は整備されていて、スーパーに行けば必要なものは買いそろえられる。住むだけならばほとんど困らない。
最寄りのバス停から15分ほど歩くと、その天京神社は見えてくる。が、その前の30段程度の石段を登るか、坂道を登ってぐるりと回らないと行けない。そのことを除けば、広い境内は正月になれば初詣で賑わうし、小さな夏祭りの会場にも利用される。
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3:わんこそば
:
2016/09/04 (Sun) 10:58:46
host:*.spmode.ne.jp
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↑章のタイトル忘れてた。
「始まりの話 ~普通に始まり普通に終わる町の始まりかた~ 1」
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4:わんこそば
:
2016/09/05 (Mon) 17:11:43
host:*.spmode.ne.jp
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始まりの話 ~普通に始まり普通に終わる町の始まりかた~ 2
ガタッ…
天京神社の雨戸が、物音を立てながらもゆっくりと開けられた。未だに木製の古い雨戸だったが、少なくとも彼女はそれを古臭いから嫌だとは思っていなかった。
「雨上がって良かった」
外の様子を見てそう言うと、しっかりと戸を開けてしまってから敷いてあった布団を畳んで片付け始める。身なりを整えて台所へと向かう。
冷蔵庫の側面にかけてあったエプロンを着ると、慣れた手つきで朝食の仕度を行う。
やがて一段落したところでエプロンを脱いで境内に出て竹箒を手に掃き掃除を開始。雨で濡れ石畳にくっついた落ち葉を丁寧に掃く。
「おはよう、今日も早いな」
「おはようー。ん、まーねー。いつものことだし」
父が起きてきた。
朝の日課は彼女がやることになっている。母は…いない。彼女が産まれてすぐに死んでしまったそうだ。
「じゃあ朝御飯にしよ。弁当も作ってくるから、そのまま学校行くね」
それが彼女。櫻井 璃亜の1日の始まり方だった。
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5:わんこそば
:
2016/09/13 (Tue) 23:52:04
host:*.spmode.ne.jp
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一章目 それは風のように静かに 1
「おはよー璃亜」
声をかけられて、璃亜はその方向を振り向いた。いつものように学校への通学路。
なんてことのない田舎の高校だが、「朝の日課を終えてからだと、時間がかかるから」と、このすぐ近くの学校を選んだ。璃亜の神社からは歩いて20分程度の道のり。一度大通りまで出て道なりに進む単純な道だ。
「おはよ。美樹。今日は遅かったんじゃないの?」
「璃亜が早いんだよ。いつも朝の家事こなしてから来てるんでしょ?朝5時起きでさ。
よくやるわー」
「まぁ、お父さんもお姉ちゃんも家事はできないというか、下手だからね。
でも慣れてからは簡単だったよ?」
「慣れすぎだよ…あたしだったら3日でやめたくなるってば」
後方から走ってきて、追い付いた璃亜と並んで歩き出したのは、氷室 美樹という幼なじみの友達である。ふんわりとしたポニーテールをした彼女は、璃亜とは幼いときからの仲で、何かがある度につるんで行動してきた。そのためか、近所では仲良しであると知らない者はいないほどになった。
勉強が苦手なことと、飽きっぽいところがたまに傷。
そしてもう一人…は、学校の方角からやってきた。
「奈津美さん?」
「の車だよね?」
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6:わんこそば
:
2016/09/16 (Fri) 23:48:11
host:*.spmode.ne.jp
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一章目 それは風のように静かに 2
二人が指差したその車はちょうど二人の目の前に横付けする形で停車した。そして、後部席の窓が開いた。
「おはよう」
「あ、合ってた」
中には二人と同じ制服を着た少女がいた。彼女は少しだけ身を乗り出して、窓から顔を出した。
「ごめんなさいね。さっき学校に着いたんだけど、急用が入ってしまって、帰らないといけなくなったの。
先生方には話をしてきたけど、2、3日ほどお休みになるわ」
「急用?」
「実家のほうでお爺様から話があるそうなのよ。結構大事な話で、親戚もみんな呼ばれてるの」
「あ、結構マジっぽい感じなんだ。いさんそーぞくとかそんなもの?」
彼女は尾賀 奈津美。それなりの大企業の社長の娘で、相応のお金持ちらしく、これまた近所では有名である。
「ドラマの見すぎじゃないかしら?
でも、たぶん合ってると思うわ。お爺様、深刻そうに仰ってましたから」
「なら仕方ないよね」
美樹が笑いながら言った。本当に遺言か何かが必要な状況なら、美樹のように笑っているのは間違いだろう。しかし奈津美は、それを一切気に止めずに同じように笑うのだった。
「そうね。仕方ないわ。
もっとも、お爺様のことだからろくなこと言わないと思うし、たぶん遺言っていうのも嘘だろうし」
璃亜と美樹は奈津美のお爺さんには会ったことはないが、奈津美の話ぶりから「お爺様」というのがだいぶいい加減な性格だというのは聞いていた。
加えて美樹はドラマや映画が好きで、こういった話には目がないという。奈津美も美樹もわかっているからお互いに会話が成り立つのだろう、と璃亜は思った。
「お嬢様、そろそろ…」
奈津美の前の席に座っている老齢の男が申し訳なさそうに言った。
「えぇ、爺。
それじゃあね、二人とも」
奈津美が軽く手を振って、窓がゆっくりと閉まった。そしてすぐに車は車道を走り出すのだった。
「…心中、お察しします」
爺が静かに言った。
「ありがとう」
奈津美は遠くなる二人の姿を見ながら言い、やがて視線を正面に戻した。
「嘘をつくつもりはなかったのだけれどね。こんなくだらない嘘を…」
「全て終われば、すぐに帰ることが出来ます。社長は先に行っておられますので我々も…」
「ええ、急いでちょうだい。
ところで、どれくらいかかる?」
「そうですな…」
爺は少し思案し、手元のメモ帳を開き、何やら計算をしてから、落ち着いた声で返答するのだった。
「おおよそ2分ほどかと」